ガーデンキュレーター即戦力キャンプ・2024夏では、7月14、15日の2日間、「植物の遷移を読み込んだ管理」「時間を味方にした景観づくり」「庭師の技が風景の価値を高める」の3つをテーマに座学とワークショップが行われました。実習の現場は横浜市旭区の追分市民の森です。

現場の情報を集めて重ね合わせる

キャンプ初日の午前中は、現場の自然環境を、省庁のホームページや民間の地図アプリなど既存のサービスを活用して把握する手法を学び、当該地域の調査報告書の確認などを行いました。午後からは、現場に出かけて実際の地形などを確かめました。

案内人は、追分市民の森の近くに住み、週に2、3度は訪れるという上原健さん。市民の森の愛護会の活動をサポートし、ガーデンキュレーター協会設立を進める株式会社Q-GARDENの顧問でもあります。

横浜市のHPによると、市民の森とは、減少する緑を守るために、1971年から、横浜市が全国に先駆けて創設したもの、とあります。どの森も自然を生かした整備を行い、通常の管理は「市民の森愛護会」が行っています。「追分おいわけ市民の森」は、山林所有者から横浜市が土地を借りて散策路などを整備し一般公開している「市民の森」の一つで1994年に開園したそうです。帷子川支流の矢指川源流域にあり、面積は33.4ヘクタール。隣接する「矢指やさし市民の森」とともに広大な緑地を形成しています(the yokohama standard 参照)。

聖マリアンナ口から入り、杉や檜の生い茂る針葉樹の森を抜けると、明るく開けた谷戸の地形が広がります。現在、使われなくなった、かつての田んぼは畑として、春は菜の花、夏はマリーゴールドやひまわり、秋はコスモスなど、愛護会の方々により季節の花が植えられています。

写真に見える、旭大橋の下をくぐり、さらに谷戸沿いに奥へと進んでいくと、段々とこの地域の原風景である鬱蒼とした湿地帯に入っていきます。
ai湿地帯には、クサレダマ、チダケサシ、ワレモコウ、セリなど、湿地を好む植物が自生しています。
ai写真左側の大きな栗の木の下あたりから右手奥に広がる、通称「トンボ池」と呼ばれるエリアが今回の実習現場です。広さは約40m×15mくらいの範囲です。

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