
ガーデンキュレーター協会設立総会記念のイベントとして、2025年1月25日に、横浜市の追分市民の森でワークショップが開催されました。全国から集まった37名の庭づくりのプロたちが、市民の森愛護会の方々と共に汗を流し、風景が一変しました。
追分市民の森は、横浜市旭区矢指町の、帷子川源流域のある自然豊かな森林です。谷戸の田園風景と樹林が一体となり、四季折々の自然を感じることができます。今回のワークショップは、2024年・夏のガーデンキュレーター即戦力キャンプ での実習の続編です。広大な追分市民の森全体からみるとごく小さな南東側の端ですが、保全計画に基づいた管理作業をやりきるのが難しい、通称トンボ池と呼ばれるエリアの手入れをします。


「横浜では希少になったイチリンソウやチダケサシ、ワレモコウやクサレダマなどがもっともっと咲き誇るようにしていく方針ですが、そのためには笹やセイタカアワダチソウなどに負けないよう手入れをしなければなりません。ですが、これがなかなか大変な作業なんです。」と、この森に足繁く通われている、ガーデンキュレーター協会事務局長の上原健さんが説明します。

しかし、今日は、庭づくりのプロと熟練里山ボランティアが総勢50名と精鋭揃いで、気合も十分。みんなでトンボ池の外周を歩いて景色を確認しながら、塾長の山本紀久さんから作業方針を伺います。
この日の整備のポイントは、上の写真の右側、背の高い2本のサワラの木をシンボルツリーとして、湿地の水際を際立たせることを目的として、以下の2点です。
①サワラを際立たせるために、笹で覆われた法面の薮の「刈り出し」を行う
②サワラの周囲にある枯れ木や傷んだ木は伐採し、トンボ池を望む際に、視界を遮るような下枝を払う
このように、その場に関わる人たち全員で、景観目標と具体の作業について共通のイメージと言葉を持てるようにマネジメントするのがキュレーターの大切な役割の一つです。その後、二つのチームに分かれて作業を進めます。





人の手が入らなくなって生物多様性が貧しくなった「単調な里山」から、生き物も人も居心地の良い「魅力的なガーデン」へ。追分市民の森での実践は、人がしっかり関わることによって、短時間でも、これだけ環境の変化が目に見えてわかる、良い事例と言えるでしょう。
ガーデンキュレーター協会会長の小島さんは、「私が初めてこのトンボ池を案内していただいたのは、6~7年前。この時、チダケサシの名残とワレモコウが見えていて、ここを整備したら、すっごく素敵な光景になるに違いないと思っていました。それからすぐには行動に移せず、行く度に笹が増えていくことが、ずっと気になっていたので、今回、協会の設立記念のワークショップで、こうして皆さんと一緒に手入れができたことをとても嬉しい!」と晴れ晴れとした表情で話してくれました。

「一度、手を入れると視界が変わって、次の作業や、やり残したところがまた見えてくるんです。今後は、法面との境にある水路に溜まった泥を掻き出す作業や、湧水口近くの雑木林のエリアのいらない木を伐採する作業、奥の桜の丘で、弱った木や間隔が詰まりすぎている木を切る作業をやると、だいぶ環境がよくなります。そうやって、敢えて間引きをしたりして樹木の間隔をあけることで、残された木は自然樹形で伸び伸びと育つことができるから、その後の維持管理の作業が楽になっていくんですよ」と、イキイキと語る山本塾長。
まだまだやることはたくさんあるけれど、ガーデンキュレーターがいて、目指す景観のイメージが共有できていると、不安よりも、安心感が広がるものだなと、お話を聞きながら感じました。


日頃、個々に活動しているガーデナーや職人たちの交流を深め、技術や美意識を高めていく場の一つとして、ガーデンキュレーター協会では、今後も、愛護会、横浜市と協議しながら、追分市民の森でのワークショップを継続していきたいとのこと。次回は4月。ハードな作業ではなく、散策しながら里山の春の芽吹きを観察する、楽しい会を予定しているそうですよ。
(取材・執筆 aruto702 梅原昭子)